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詩集 はないちりん (2003年11月) [詩集]


■「おしばな」

いちばん
すきな

ほんを
もって

いちばん
すきな

はなが
さいている
ところへ
いって

いちばん
きれいに

さいた
はなを
つみとり

いちばん
すきな

ほんの
ぺーじに
はさむのです

そして

いちばん
すきな
ひとに
おくります

おしばなの
ある
ぺーじの
ところが

わたしの
きもちですと
おてがみ
そえて


■「こころになる日」

じぶんでは
きめられない
こころの
かたち

そらに
くもが

うみに
なみが
あるように

わたしに
あなたが
いれば
きめられる

こころが
はじめて
こころに
なるから


■「やさしい季節」

かぜが
やんだ

あめが
やんだ

はなが
さいた

みちが
できた

きみに
えがお

ぼくに
えがお

ことば
はずむ

そらが
くもが

なんて
きれい

きみと
いきる

はるの
きせつ

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■「想い」

ことばに
だせない

ことば
たちは
どこにゆく

この
むねの
なか

やすらかに
ねむるのか

すきな
ひとを
みつけたんだ

いわずに
どうする
このおもい

ことばを
かさねぎ
しなくていい

つよく
あれ
このわたし

すきな
ものは
すきと
いえる

その
こころ

つらぬき
とおせ

すべてが
おもいでに
なるまえに


■「こいぶみ」

しずかな
よるの
きしべ

つきの
あかりに
てらされて

したためる
こいぶみは

やさしい
ことばを
あつめて
つづりました

ほほに
かかるものは
きょうまでと
いいきかせ

ふでを
にじませ

このて
ふるわせ

ぶじに
あなたに
とどくようにと

がらすびんに
つめた
こいぶみ

いま
みずの
ながれに
うかばせます


■「ねがい」

ぎんいろの
なみだが

きみの
ほほに
ながれて
いませんか

ましろな
はんかちが

きみの
なみだで
ぬれて
いませんか

きがかり
きがかり

てがみじゃ
おそすぎます

でんわじゃ
よそおい
すぎます

だから

ひとみを
とじて
いっしんに
ねがうのです

きみ
だけを

きみの
ことだけを
おもいながら

しんじて
みるのです


■「はるのこみち」

あなたの
ひとみに
よろこび

たくさん
うつして
ください

あなたが
わらうと
うれしく
なります

あなたの
ほはばで
ゆっくり
このみち

わたしも
ゆっくり
あなたの
となりで

おはなし
しながら
あるきま
しょうか


■「恋心」

やさしさ
みえかくれ
する

あなたの
ことば

ひとさし
ゆびで
なぞります

あなたの
きづかい
うれしくて

うるむ
ひとみ
こらえます

なみだは
おことわり

じぶんで
きめました

あなたに
あえる
そのひまで


■「いちりんのはな」

どうか
そだちます
ように

いちりんの
はな

あたたかな
ひざし
うけて

うるおいの
みずを
あたえられて

あざやかな
あなた
いろに

そまります
ように

たいせつな
わたしの

いちりんの
はな


■「ひだまり」

このて
のばせば

そのてが
のびて

かげが
ひとつになって

よろこびが
ほら

あなたと
ぼくのかおで

ほほえみに
なりました


■「ぽえむ」

さむい
きせつ
すぎた
けれど

このて
はなし
たくは
ないよ

だって
きみの
うたが
すきさ

そばで
きいて
いたい
ずっと

きみの
つくる
あいの
うたを


■「おがわのほとり」

みずおと
やさし

もみじの
やまから

ながれる
とうめいな

おがわの
ほとり

ここで
ぼくは

あなたを
しって

あなたも
ぼくを

みつめて
くれました

やさしい
うたが

うまれ
ました

こころが
よろこんで

こころが
うれしくて

ぬくもりが
かけがえのない

うたを
つくらせました

いきて
ゆこうとおもいました

あなた
よりも

たいせつな
もの
みつかりません・・・


■「いとしさ」

いちど
きりの
いのちだから

この
であいが
あまりに
いとしい

やっと
にぎれた
このての
ぬくもり

もう
はなすものか

あなたの
すべてを
まもり
たくなる

かぜが
ふきすぎてゆく
そんなとき

よるが
めぐる
そんなとき


■「あさかぜ」

めざめたら
ゆめ

あなた
とおいそら

かなた
きえるくも

わたし
ことり

つかまる
こえだで

とぶことも
できず

あさかぜの
なか


■「美しすぎて」

つみ
とらない
ほうが

いいのかも
しれない

その
ままが

いいのかも
しれない

なにも
いわぬ
きみ

なにも
いわぬ
はな

あまりに
うつくしすぎて


■「ゆうぞら」

くれた
そらに
のこる
くもは
わたし

ただ
さすらい
ちぎれて
ゆくの

あとかたも
なく

あなたの
そらから
・・・


■「しつれん」

ふった
てを
おろし

かえる
よるの
みちを

こない
だろう
もう

きみの
すむ
まちには

たぶん
きっと
にどと


■「うらない」

ひとり
うらなう

ゆくえ
しれずの
こい

とらんぷ
きれば

はしら
どけいの

びょう
うつおとより

はげしく
このとき
きざむ

わたしの
こどう


■「やさしきうた」

ことのは
やさしい
あなたの
ことのは

しずかに
ぬくもる
こころが
しずかに

あなたが
みつめた
けしきが
ひろがる

かぜふく
すがたが
はなさく
すがたが

めのまえ
あざやか
きせつが
あざやか

あなたの
まなざし
すてきな
まなざし

こころの
やさしさ
わたしに
つたわる

あなたの
ことのは
うれしさ
くれます

わたしの
だいじな
あなたの
ことのは


■「とまり木」

きみが
うたえば

ぼくも
うたう

ことりの
ように

にまいの
つばさ
やすめて

ことばの
とまりぎで


■「はなかげ」

さくはなの
かげで

ちるいのち
ひとつ

なきぬれて
みても

もどらない
ひびに

なつかしむ
きのう

さくはなの
すがた

ちることを
しらず

それだけで
けなげ


■「かたおもい」

すきと
いえぬ
つきひの
おもさ

こぼれる
なみだ
だけが
かがやいて
いるの

ぎんいろに
じゅんすいに


■「桜吹雪」

ちるはな
ゆくきみ

おもいで
いろして

きおくの
かなたへ

よぶこえ
かれはて

こころは
あれはて

またくる
はるまつ

ふぶきの
さくらが

わたしを
なかせる

ちるはな
ゆくきみ

きおくの
かなたへ
 

■「ぬくもり」

つかまる
かぼそい

あなたの
うでが

ぼくの
うでに

けいとが
からむ
ような

ささやかな
ぬくもり

そんな
あいが
すき

つよく
なくて
いい

ぬくもりが
きえなければ

この
あいの
・・・・


■「ふゆのよる」

あなたが
えらんだ
ことのはが
この
むねに
ひろがって
しずかに
やわらかな
もうふに
なる
つめたさを
あたためて
やさしく
ぼくを
ねむらせる


詩集 はないちりん 2003.11
※すべて日本WEB詩人会にて発表したものです。